せん妄を理解する!~家族の協力・苦労~

こんにちは。たかとです。

高齢化社会になってきており、入院する患者さんも高齢化が激しいです。

また高齢化に伴い認知症を有しているかたも増えてきており、入院時のせん妄も一つの問題となっています。

今回はせん妄について勉強していきます。

せん妄について学ぼう!

せん妄とは?

せん妄は心の防御反応

せん妄は「急激に進行する意識障害であり、数日~数週間で改善するもの」と言われています。

心身に対して強いストレスがかかった際、心が自分を保つために殻にこもった状態のようなものです。

手術や全身に及ぶ炎症、入院生活や病気の告知などが当てはまります。

またアルコールを常飲している人は入院環境により、アルコールが飲めず

アルコール離脱せん妄がおこります。

症状は??

症状は大体が認知症に似たようなものです。

  • 見当識の消失(場所・時間・日にちなどがわからなくなる)
  • 帰宅願望が強まる(ずっと帰ると言い張ります)
  • 幻視(見えないものが見える)
  • 記憶力の低下(短期記憶が低下して入院してることや治療していることが分からなくなる)
  • 負の感情が強まる(点滴・内服などの拒否が強まる。何かをされるのを嫌がる)
  • 落ち着きがなくなる

など症状は精神症状ですが

  • 低活動性せん妄(動かなくなる、反応がうすくなるなど)
  • 過活動性せん妄(興奮が強まり、叫び暴れる。動き回る)
  • 混合性せん妄(低活動性・過活動性がころころ変わって出てくる)

に分かれます。

特徴があります!

特徴は急激に発症・進行することで

さっきは普通に話してたのに、数時間後には全然分からなくなってしまった。

というぐらい急激な発症です。

また夜間せん妄と呼ばれる状態もあり、夕方~夜間にかけて症状が強まるのが特徴です。

治ったら元通りになります。せん妄状態は覚えていないことがほとんどですが、断片的に覚えていることもあり

特に嫌なこと(押さえつけられた、何人もたくさんの人がいて怖かった)は記憶に残りやすいようです。

認知症との違い

症状が認知症と似ているので「認知症になってしまった!」と思いがちですが認知症とは違います。

認知症は徐々に進行していく治らない病気ですが(脳梗塞などで起こるものは脳梗塞になったときに急激に発症する)

せん妄はしっかりと治ります。心配だと思いますが大丈夫です。

どういう人がなりやすい?

特になりやすいのは高齢者です。

環境の変化や体のダメージに対して適応能力が低くなっているので、心身を守ろうとする働きと考えられます。

また精神科疾患のかたもストレスをため込みやすかったり、環境変化に弱いためなりやすい・精神科疾患が悪化しやすいです。

認知症のかたはかなりのリスクです。また入院環境により認知症も悪化しやすいです。

アルコール常飲・依存のかたはアルコールの離脱からのせん妄になりやすく、特に若めのかたがなるので対応が難しいです。

治療は?

一番は退院して自宅環境に戻ること、全身状態が改善して体調がよくなることです。

でも難しいので、

  • しっかり寝て少しでも刺激を少なくする(睡眠剤の使用)
  • 落ち着ける薬の使用(安定剤の使用)

になります。

一番は安らげる環境、自宅に近い環境にすることです。

せん妄は改善するので薬剤は入院中のみ使用し、薬剤量は徐々に減量していきます。

家族の心構えは?

病院から呼び出される

せん妄は心身へのストレスにて誘発されます。

せん妄状態では、「よくわからない所で、知らない人に囲まれている」状態になります。

看護師がいても、医師がいてもわからないのです。

一番良いのは安心できる環境にすること、家族に来てもらうことです。

現状は感染症もあるので病院での対応が違いますが、呼び出されることも多いです。

過度に不安にならない

せん妄患者は周囲の感情を察知します。

家族が不安がってると、興奮が増すことがあります。せん妄は一時的なものなので受け入れられなくても、大丈夫なんだという心を持ってください。

また、医療者に暴言を吐いたり暴れたりすることが恥ずかしく、患者自身を叱りつけると反発することがあります。

付き添ってもらうだけでいいので、安全を守ることが大切です!

看護師の苦悩・・・

薬剤が使用しにくい・・・

やはり無理やり寝かせることはしにくい。安定剤も使いすぎると日中寝てしまい、昼夜逆転になってしまう。

ですが、歩きまわってどこかに行ってしまったり、転んでしまったり、管を抜いてしまうのも怖いので

使うしかない現状があります。

抑制するしかない・・・

時間・労力を考えると、うろうろしているのに付き合っている時間がないときが多々あります。(特に夜間)

状態に応じた抑制を行うしかありません。

手術後に管が入っている人は抜けてしまうことで致死的になることもあります。

安全を守るために抑制をするのですが、抑制は同意が必要です。

家族が同意できなければできません。できれば付き添っていただきたいです。(個室で。)

普通に暴力がある・・・

普通に殴られるし、かまれます。感染症のリスクもあります。

点滴すれば馬騰され、毒を入れられたといわれます。普通に心にダメージが来ます。

労われとかはないので、そういうことがあるということは知っておいてください。

 

今回はこれまで。

せん妄は見た目のインパクトが大きいため、そこに目を奪われてしまいますが

持っている病気を良い方向へもっていく、安全に療養できることを目標にしていますので

家族・医療者・本人みんなで方向性を合わせたいですね。

 

皆さん一緒に大切な体を守っていきましょう!

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