こんにちは。たかとです。
今まで10年にわたり消化器病棟にいた知識を
皆さんと共有していきたいと思います。
看護計画の立て方なんかもできればと思っています。
まずは肝臓から、おねがいします!
肝臓とは
肝臓は右上腹部、肋骨弓に隠れるようにあり
重量1000~1500グラムの人体の中でも巨大な臓器です。
肝臓の管
肝臓に出入りする血管は4つ
- 肝動脈(固有肝動脈とも。腹部大動脈→腹腔動脈→固有肝動脈の枝)
- 肝静脈(下大静脈へ直接つながる短肝静脈もあり)
- 門脈(消化管からの数多くの静脈)
- 胆管(総胆管ともいう。位置で下部・中部・上部など)
肝静脈や肝動脈は肝臓内での名前もあって複雑です(そこまで覚えなくても…)
胆管は肝臓内では肝管と言いますが、肝内胆管ともいわれてます。
肝臓の血流は門脈7割・肝動脈3割です!
肝臓の最小単位は肝小葉といい六角柱構造になっています。
角に肝動脈・門脈・胆管があり、中心に中心静脈があります
肝細胞が肝細胞索を作りその隙間を類洞と呼びます。
門脈・肝動脈からの血流が類洞から中心静脈に流れ
その間に肝細胞によってさまざまな影響を受けます。
肝細胞により作られた胆汁は肝細胞の間にある
毛細胆管に入り、角にある胆管に流れます。
肝臓の区域分類
区域分類は手術の時に理解しておく必要があります。
術式は左葉切除、外側区域切除、後区域切除などどこ切ってるの?
となるので覚えましょう!
肝臓の区域は門脈の分岐によって分かれてます!
門脈の一番最初に分かれた部分より左葉・右葉に分類されます。
右葉は前・後区域に分かれ、それぞれが上下の区に分かれます。(亜区域といいます)
左葉は内・外側区域に分かれ、外側が上下の区に分かれます。
尾状葉(s1)は単独の亜区域です。
s1~s8までの亜区域がどこにあるのかを知っておくと理解しやすいです。
肝臓の働き
肝臓の機能
- グリコーゲンの貯蔵(血糖値のコントロール)
- アルブミン合成・タンパク質代謝
- ビリルビン代謝・産生
- 糖新生(血糖値のコントロール)
- アンモニアなどの毒素の解毒
- 血液凝固因子の産生(PTなど)
など多岐にわたります。
これは採血で分かることと、予測して観察しなければならないものがあります。
肝硬変などの病態ではグルコースが貯蔵ができず、
筋肉分解によってケトンを産生してエネルギー利用し
糖分が足りないままになり、低血糖が遷延します。
筋肉がどんどん分解されサルコペニアに移行します。
急激な低血糖発作なのか、高アンモニア血症なのか?
判断していかなければなりません。
肝臓が障害されている、とするときは
上記のものすべてに目を向ける必要があります!
肝機能評価と採血結果
・AST・ALT
肝細胞に含まれる酵素。肝細胞が破壊されることで上昇する。
肝臓の機能が落ちていることと混同しないように注意!
・血小板(PLT)
肝硬変では門脈圧亢進から脾臓の血流が増大し大きくなり、機能亢進が起こる。
血小板破壊が進み血小板が減少する。
・血清アルブミン(Alb)
肝臓でのタンパク合成能低下によっておこる。
浮腫の原因になる。チャイルド・ピュー分類でも使用
・プロトロンビン時間(PT)
肝臓で合成される凝固因子プロトロンビンがトロンボプラスチンを加えて
固まるまでの時間。プロトロンビンを肝臓で作れているか?
肝臓の機能が保たれているかの確認。
またプロトロンビン活性%も使用する
・ビリルビン
肝臓の実質が壊れている。排泄ができない。
様々な要因であがるが、上がっていれば肝・胆道系の問題だとわかる
・血中アンモニア
肝臓で分解されるアンモニアが血中に多くあるということは
肝臓がうまく機能していないか、シャント形成が疑われる
・コリンエステラーゼ(ChE)
肝臓でのタンパク質合成がされているときに出ている酵素。
アルブミン合成がされていないときは低く、肝臓の機能の判断に使用。
・コレステロール(TC)
肝硬変・劇症肝炎ではコレステロール合成ができず下がる。
黄疸などでは上がる
・ALP γ-GTP LAP
これらは肝臓内や総胆管のつなぎ目にあり、胆汁うっ滞時に上昇する。
その他には
肝・胆道系の腫瘍マーカー、ICG、繊維化マーカーのヒアルロン酸や
Ⅳ型コラーゲンなどを検査しています。
まとめ
・肝臓は様々な機能があります。
・肝臓の区域分類は手術・治療時にどこを治療するのかの理解に役立ちます
・採血データは複合的に見て判断する
今回は以上です。
各論編もやっていくので
一緒に勉強していきましょう。
ではでは~